「えー! もうきれいな鳥、取らないの?」
ブレードスワローが一匹獲れたって事で、今日の狩りはこれでおしまいってお父さんが言ったんだよ。
そしたらさ、それを聞いたキャリーナ姉ちゃんが、ブレードスワローをもっと獲りたいって言い出したんだ。
「いっぱい狩ったら、その分いっぱいアクセサリーが作れるでしょ。だからもうちょっと狩ってもいいでしょ?」
「いや、今日はニコラちゃんたちの弓での狩りの練習に来たというのもあるが、ベニオウの実を採りに来たというのが一番の理由だろ。取ってからそれを街まで運ぶことを考えると、そろそろ行かないとダメじゃないか」
今日はいつもよりも早い時間にイーノックカウのお家を出たけど、冒険者ギルドでルルモアさんのお話を聞いたりバリアンさんが来るのを待ってたからその分街を出るのが遅れたでしょ。
それに来る時は狩るつもりじゃなかったブレードスワローを、キャリーナ姉ちゃんが見たいからって探す事になっちゃったもん。
だから流石にそろそろベニオウの実のなってる木が生えてるとこに行かないとダメな時間になっちゃってたんだ。
「そっかぁ。それじゃあ、仕方ないね」
「ああ。それに今日はうちの分だけじゃなく、領主様の分まで採らないといけないからな」
その事をお父さんが教えてあげると、キャリーナ姉ちゃんも渋々だけど納得したみたい。
と言う訳で、僕たちはベニオウの実を採るために、もっと森の奥の方まで息事にしたんだ。
森の奥の方へ行くと、普段はそんなとこまで人があんまり来ないから森の中は草でいっぱいで歩きにくくなってきたんだよ。
そうなると僕たちやバリアンさんはいいけど、こういう険しい森の中をあんまり歩いた事が無いニコラさんたちは大変でしょ。
だからお父さんが先頭になって、なるべく歩きやすいとこを探しながら進んでたんだけど、
「ん?」
そしたら何かに気が付いたみたいで、周りをざっと見渡したんだよ。
「ふむ。こっちか」
でね、今まで進んでたのとはちょっと違う方に歩き出したもんだから、僕、何でだろうって思って探知魔法を使ってみたんだよ。
そしたらさ、お父さんが歩いてく先に何個かの反応があったもんだから教えてあげようとしたんだ。
「あっ、お父さん。そっちに」
「大丈夫よ、ルディーン。ハンスはちゃんと解ってるから」
でもね、全部言う前にお母さんが僕の肩をポンって叩いて、大丈夫だよって。
それにお兄ちゃんやお姉ちゃんたちも黙ってうなずいてたもんだから、僕も黙ってついてく事にしたんだ。
そのまんまちょっと歩いてたらね、
「ふんっ!」
お父さんが急に斜め前に走り出したと思ったら、いきなり腰の剣を抜いて目の前の草むらを切り裂いたんだ。
グギャアッ!
そこにはね、2匹のゴブリンが隠れてたんだよ。
でもその二匹をお父さんは、剣の一振りでいっぺんにやっつけちゃったんだ。
「シーラ!」
「はいはい、解ってますよ」
そしたら近くに隠れてた他のゴブリンがびっくりして逃げ出したんだけど、お母さんはゆっくりと弓を構えて一番離れてたのにバシッ。
それにね、お兄ちゃんたちは剣で近くに居たのを、それにお姉ちゃんたちはちょっと離れてるのを弓でやっつけちゃったんだ。
「僕もやっつける!」
だから僕もすぐに体の中に魔力を循環させて、
「マジックミサイル!」
ちょっと離れてるやつに向かって力のある言葉を放ったんだよ。
そしたらそのゴブリンはやっつける事ができたんだけど、一匹やっつけてる間にお父さんたちが残ってたのを全部やっつけちゃったもんだから、僕、なんでみんなやっつけちゃうの! って怒ったんだ。
「僕の分までやっつけちゃうなんて、みんなずるい!」
「はははっ、ルディーンの魔法は強力だけど、撃つまでに時間がかかるのが弱点だな」
なのにお父さんが笑いながらこんな事言うもん。
だから、僕は、もう! ってもっと怒っちゃったんだよ。
そしたらさ、お父さんは慌ててそういう意味で言った訳じゃないんだよって。
「そう怒るな。お父さんは別に、ルディーンの魔法が弱いって言っているわけじゃない。物事には相性ってものがあると言いたいんだ」
「相性?」
「ええ、そうよ。魔法には私たちの武器には無い、大きな長所があるもの」
お父さんとお母さんはね、僕の魔法じゃないとできない事があるんだよって教えてくれたんだ。
「ハンスの剣や私の弓は確かに早く攻撃ができるけど、ブレードスワローを狩る事はできないでしょ?」
「それに、前に倒した幻獣。あれも俺たちではどうにもならない相手だが、ルディーンの魔法なら倒せるじゃないか」
お父さんたちはね、魔法は撃つまでに時間がかかっちゃうけど、別に剣や弓よりも弱いわけじゃないよって教えてくれたんだよ。
「どんな物だって、長所があれば短所もある。ルディーンの魔法は強力だけど、撃つまでに時間がかかるという弱点があるんだなってお父さんは言いたかったんだ」
「まぁ、ハンスが言葉足らずだったから、ルディーンが起こるのも無理は無いんだけどね」
そう言って、お父さんをコラ! って叱るお母さん。
僕はね、それを見てたら楽しくなっちゃってけらけら笑ってたんだよ。
でもね、
「なぜ?」
僕の後ろから急に、ニコラさんのちょっと暗いこんな声が聞こえたもんだから、みんなびっくりしてそっちを見たんだよ。
そしたら真っ青なお顔をしたニコラさんが、ちょっと震えながら立ってるんだもん。
だから大丈夫? って聞いたんだけど、ニコラさんはそれには答えずに、お父さんにこう聞いたんだ。
「何故、ゴブリンがあそこに隠れていたことに気付けたのですか? 私にはまったく解らなかったのに……」
読んで頂いてありがとうございます。
ここからが本題なのですが、平日であまり書く時間が取れなかったので今回はキリがいいここまでで。
さて、魔法というものは体に魔力を循環させないと使えないという性質上、とっさに放つ事ができません。
なので不意打ちされると反撃のしようが無いんですよね。
ルディーン君の場合は剣を使っての近接戦闘ができるし、何より索敵魔法が使えるので狩りをする際には何の問題もありませんが、本来なら盾役が居なければ魔物がいる森の中になんて入ってこられるわけがありません。
こういう所が、ルルモアさんが一生懸命探しているのにベニオウの実を採りに行ってくれる魔法使いが見つけられない理由の一つだったりw